ブロックチェーンを使ったDAppsゲームは、従来型のソーシャルゲームよりも「アイテム所有権」「運営の透明性」等の点で特徴的なゲームです。
まだまだDAppsゲームのプレイヤーはソーシャルゲームに比べ非常に少ない状況であり、世界で最も遊ばれているイーサエモンすら現時点の DAU (一日のプレイヤー数) はたった500人あまりです。
要するに「一日に世界中で500人が遊ぶゲームを作れば世界一になれる」というニッチなマーケットですが、これは人気ソーシャルゲームのDAUが数十万〜100万人単位であることを考えれば驚くほどに狭い市場です。
以下のブログ記事にてDAppsゲームの特徴と可能性を書きましたが、今回はそのマネタイズ方法に集中して書いていきます。

DAppsゲームのマネタイズ方法はある程度限られていますが、その方法を駆使して収益を上げるゲームが先例として注目されれば後続の参入を促すことができ、業界が活性化するはずです。
DAppsのマネタイズの前提
本来、DAppsなどの「分散型」サービスは運営者がいないことを理想とするため、特にマネタイズ方法の議論にならないのが自然です。例えばビットコインは分散型通貨システムですが、基本的には開発者のマネタイズ方法など存在しません。
ICO (イニシャル・コイン・オファリング) をするイーサリアム上のプロジェクトでも、ICOでのチーム取り分以外に利益を生む方法にはかなり苦しみます。そもそも「誰にも所有されないサービス」こそがブロックチェーンの理想であるからです。
しかし、ゲームはクリエイターのカリスマ性により初めて素晴らしいものが完成することもあり、通常は大金も扱わず、緊急性も低くなります。従って「ブロックチェーンを使わない」「運営者の権限をある程度保つ」こともある程度は許容される分野でしょう。
だからこそ、ゲームは全てのDAppsの中でも従来型サービスの構造に近く、格段にマネタイズがしやすい分野となっていることは確かです。
DAppsゲームのマネタイズ方法3つ
DAppsゲームで利益を生む方法は大きく分けて3つ、
- ソーシャルゲームと同じ方法
- アイテム売買手数料
- ICO, プレセール
が挙げられます。
ソーシャルゲームと同じ方法
前述の通りDAppsゲームはブロックチェーンを “使う” のみであり、従来のサービスと変わらない部分も多いです。従って基本的にはソーシャルゲームと同じ収益方法は何でも実行することができます。
作ったアイテムやキャラクターをETH建で販売することができますし、実質的に無から価値を創造できるポイントがあるところは DApps としては非常に有利です。
イーサエモンの場合、限定モンスターは 0.3ETH (この当時のレートで 1ETH = 約3万円) あたりでも売れます。
ソーシャルゲームで評判の悪いガチャでの課金は今の所のDAppsゲームには見当たりませんが、国内のDAppsゲーム制作者が増えてくると必ず現れるはずです。しかしその際、運営がブロックチェーンの透明性を活用し、 Etherscan 上でソースコードを公開していれば不正な操作はできないことになります。
その他、広告なども機能するでしょう。基本的にソーシャルゲームでできる方法はDAppsゲームでもできます。
アイテム売買手数料
アイテムがチェーン上のトークンになり、ユーザーに所有権があるところがDAppsゲームの面白いところです。従って、プラットフォーム内でユーザー同士のアイテム売買を促進することができます。
アイテムを保持するユーザーは希望価格を記入して売却できます。その際にゲーム側は売買手数料を取ることができます。プラットフォーム内のアイテム売買が活発になれば運営も潤うことになります。
ICO, プレセールを行う
ゲームのサービスを開始する前に、アイテムのクラウドセールを行うことがあります。
My Crypto Heroes は限定キャラクターのプレセールを行い 694ETH (約1400万円) を売り上げており、誠実に開発を行う限りは初期からコミュニティを支える先行者に対してセールすることはよい選択肢になりえます。
ブロックチェーン上でキャラクターの発行数を把握できる状態にしておけば、限定アイテムの貴重度はユーザーが検証可能ですし、訴求もしやすくなります。
イーサエモンのようにICOを行い独自トークンを発行するのもよいですが、現在では市場の状況に加えて国内法律により難しい選択肢となっています。
大前提は「面白いゲーム」であること
「ブロックチェーンを使っているなら何でも流行る」といった時期もありましたが、2017年のバブルが弾けた今は、全くそんな雰囲気はありません。DAppsのマネタイズ、持続性は大きな問題になりつつあります。
そもそもブロックチェーンはバックエンドの技術であるため、本来は「ブロックチェーンを使っている」ことを喧伝する必要はなく、単にユーザーに「デジタルグッズの所有権」「透明性」を理解してもらうための手段として使うべきものです。
そう考えると、いくらDAppsゲームのマネタイズ方法を考えた所で、最も大事なのは単純に「面白いゲームであること」だ、という事実に気づきます。
ノウハウも固まっておらず、スケーラビリティ問題を中心に数えきれないほどの課題があるDAppsで、さらに人気のゲームを妥協することなく作ることは本当に苦労が求められそうです。
現段階のDAppsゲーム市場ではパズドラやモンストのように劇的な収益を稼ぐゲームは出てきませんが、今後のDApps熱の高まりにより徐々に盛り上がり、一般社会にブロックチェーンが知らず知らずに浸透する、という展開があればよいなと思います。
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