Kyber Networkは「異なるチェーンやプラットフォーム、DApps間でにおいて、どんなトークンでも自由に活用可能にする」という理念を持ったEthereum上のプロジェクトです。
そんなイメージをさらに強めるべく、Kyber Networkは2018年の6月にリブランディングイベントを行い、ロゴも刷新して心機一転のスタートを切っています。

今回は、そういった側面を強く切り出した “CEO Loi Luuのインタビュー記事” が公開されたので翻訳して掲載します。
Kyber Networkの理念と狙いが伝わる記事ですので、これだけを読めばKyber Networkについての大枠は完全に理解できると思います。
前篇はKyberについてが主体で、
後編はブロックチェーン業界一般の話が主体になります。
- Kyber Network CEO, Loi Luuのインタビュー記事
- あなたの個人的なバックグラウンドと、どのようにKyberを始めたのか教えてください。
- Kyber Networkのウェブサイトの最初には、”トークン化した世界を一つに繋げる” と書かれています。Kyberにより構築されたトークン化した世界で、各プロジェクトはどのように相互作用してゆくのでしょう?
- 単にビットコインとトレードするのではなく、理論上はKyberにログインすれば、その流動性マーケットを通し、ブロックチェーン上に記録されたどんな資産もお互いに直接トレード可能になるわけですね。
- 最近数ヶ月では取引所のハッキングが注目を浴びています。ウォレットを通した直接のP2Pトレードを可能にし、秘密鍵が安全であることを保証することは、ユーザーにとって非常に素晴らしいものとなりそうですね。
- ロードマップによるとKyberGOが2018年のQ2にリリースされるとあります。投資家にとってどんなものになるか、言及していただけますか?
- トークンセールに参加したい新規参入者がいた場合、KyberGO以外にそれらの機能を活用できるトークンセールプラットフォームはないのですか?
- 後編は、より一般的な暗号通貨業界への見解
Kyber Network CEO, Loi Luuのインタビュー記事
以下、カラーボックスの注釈を除いた全てが記事の翻訳です。英語が得意な方は原文をご覧ください。

(太字や各強調はこちらの編集です)
あなたの個人的なバックグラウンドと、どのようにKyberを始めたのか教えてください。
Kyberを始める以前は、イーサリアムと暗号通貨を一般的に研究していました。
例えばそこで、Oyenteと呼ばれる最初のスマートコントラクト・アナライザーを作りました。これは今でも、QuantstampやAugur, Melonといったいくつかのブロックチェーンプロジェクトで活用されています。
その後、パブリックブロックチェーンのための最初のシャーディングプロトコルの研究を開始し、それも現在の Zilliqaブロックチェーンをインスパイアすることができました。
Zilliqaを聞いたことがないかもしれませんが、彼らはシンガポールに拠点を置いた、最も有望なスケーラブル・ブロックチェーンプロジェクトの一つです。
その後、私たちはKyberをスタートさせました。Kyberでは、異なるトークンとアプリケーションを一つに繋げるための分散型流動性ネットワークを構築しています。
私たちが実現したいアイディアの全容は、
「どんなトークンでも、取引所やレンディングプロトコル、暗号通貨決済などを含むどのアプリケーションにおいても、簡単にシームレスに使えるようにしたい」
というものです。
そしてKyberでサポートされているトークンの全ては、Kyberを統合しているアプリケーション全てで活用できるようになります。
Kyber Networkのウェブサイトの最初には、”トークン化した世界を一つに繋げる” と書かれています。Kyberにより構築されたトークン化した世界で、各プロジェクトはどのように相互作用してゆくのでしょう?
トークン化した世界(tokenized world)とは、あらゆる資産や価値がブロックチェーン上のトークンとして表現された世界のことです。
今や、貴金属や法定通貨の価値はブロックチェーン上に表現されていますし、各プラットフォームもサービスやユーザーの価値をトークンで表現しています。
将来的には、課題もあれど不動産やあらゆる動産をトークン化することが考えられますし、ますますトークンで溢れる世界になるでしょう。
Kyberは、「どんなトークンでも、いつでもどこでも、時間と場所を問わず活用できるようにする」という未来に向かって仕事をしています。
例えば、あなたが金(ゴールド)の価値を保証するトークンを持っているとしましょう。私たちはそのトークン保有者に、両替の必要なく、例えばそのままTシャツを買ったりビデオゲームを楽しんだり、もしくはインデックスファンドへの投資をすることすら可能にしたいのです。
この状況を実現するため、自社トークンを持ったチームやマーケットメーカーなど、誰もが自由に流動性を提供できる、分散型流動性ネットワークを構築しています。
それと同時に、他のアプリケーションにその流動性ネットワークを活用してもらうことができます。
それこそ、Kyberを中心としたネットワーク環境を創っている理由です。
例えばあなたがTシャツを買いたいと考えていて、大好きなTシャツショップがKyberを統合していれば、あなたはKyberでサポートされている全てのトークンで買い物ができるのです。
しかしそのTシャツショップは、EtherやDaiや他のステーブルコインなど、Kyberでサポートされた好きなトークンで受け取れるのです。
なぜならKyberがバックエンドでトークン交換を処理するからです。
もしくは、もし分散型インデックスファンドに投資したいと思った場合、もちろんどんなトークンでも投資ができます。
ファンドは同時に、完全にオンチェーンでポートフォリオをリバランス/流動化できます。
Kyberは本質的に、全てをスマートコントラクトで運営し、ファンドにもユーザーにも透明性を確保しているからです。
単にビットコインとトレードするのではなく、理論上はKyberにログインすれば、その流動性マーケットを通し、ブロックチェーン上に記録されたどんな資産もお互いに直接トレード可能になるわけですね。
そのために私たちは個人のためのプロダクト、KyberSwapを持っています。ユーザーはこれを使えば簡単に、どんなトークンでもトレードできるようになります。
さらにKyberSwapは、Kyberの分散型流動性ネットワークと統合された、完全オンチェーン運営の最初のプロダクトです。
次に、全てがスマートコントラクトで動いているため、ユーザーはデポジットや出金の必要もありません。トレードするときは全て、スマートコントラクトとやりとりを行います。
そして、スマートコントラクトでの取引の執行も分割不可能(atomic)なものになっています。
Atomic とはAtom(原子)の形容詞形で、「これ以上分割できない」ことを表します。つまり、Kyber Network上の一つの取引は部分的な約定をせず、成功か失敗かの All or nothing だということです。
つまり「トレードが完全に執行される」か、失敗して「全ての資金が返金される」かの2つに1つであり、それもスマートコントラクトで保証されています。
したがって、KyberSwapがハックされたときの心配をする必要はありませんし、Kyberにどんな問題が発生しても、少なくともあなたの資金は安全です。
最近数ヶ月では取引所のハッキングが注目を浴びています。ウォレットを通した直接のP2Pトレードを可能にし、秘密鍵が安全であることを保証することは、ユーザーにとって非常に素晴らしいものとなりそうですね。
ユーザー資産を保持し続けることは、取引所だけでなく規制当局の頭痛の種になっています。
規制当局は「この国の取引所がハックされた」「たくさんのユーザーが影響をうけた」「数百万ドルが盗難にあった」などの新聞見出しを嫌いますし、それに対応してユーザー保護のため規制を強め、多くのルールを作る事態を招いています。
ロードマップによるとKyberGOが2018年のQ2にリリースされるとあります。投資家にとってどんなものになるか、言及していただけますか?
KyberGOは、現在のエコシステムに貢献するために導入するプロダクトで、個人の投資家のためのベストなトークンセールプラットフォームになることを目指しています。
分散型のトークンセール、流動性を高めること、参加ユーザーに安全な環境を提供することにフォーカスしています。
トークンチームにとってKyberGOは、トークンセールに伴う苦労を取り除くため、チームがコミュニティやブランド構築など、トークンセールを進歩させるための項目に集中することができます。
私たちが直面している問題は、プロセスにトラブルも多いため、多くのプロジェクトは個人のユーザーが参加するパブリックセールを行いたくないと考えていることです。
まず第一にスマートコントラクトを作成し、それを監査し、ウェブサイトを作成、エンドユーザーに事業内容を伝えなければなりませんし、それはエンドユーザーにとっても簡単なことではありません。
そしてよく知られるように、彼らのほとんどが、エンドユーザーにフィッシング詐欺を行おうとする10や20のスキャムに対応しなければなりません。
Kyberではそのプロセスをスリム化し、プロジェクトが簡単に参加層を広められるようにしたいです。
KyberGOの他の機能としては、エンドユーザーはどんなトークンでもセールに参加できることです。
当然、KyberGOは私たちの流動性ネットワークと直結していますし、トークン交換が瞬時になされるため、プロジェクトはEtherやステーブルコインを始めとした好きなトークンで受け取れるからです。
トークンセールに参加したい新規参入者がいた場合、KyberGO以外にそれらの機能を活用できるトークンセールプラットフォームはないのですか?
他にもいくつかトークンセールプラットフォームは存在します。
しかし、全てをスマートコントラクトで行い、資金をKyberを含む第三者に渡すことのない、オンチェーンで完全に分散的かつセキュリティを確保しているのは、KyberGOが最初のプラットフォームであると自負しています。
ユーザーは自身のウォレットから直接にプロジェクトへトークンを送金できます。私たちがユーザー資金を預かる瞬間はありません。
様々なトークンで参加できる機能と同じく、それこそがKyberの最もよい部分だと考えています。
後編は、より一般的な暗号通貨業界への見解
インタビュー記事は長いので、後編の記事に分けて発表します。
後編の質問は以下の通りです。
- DEXの一般社会への普及において、多くの問題から一つピックアップするとすれば? 一般社会に広めるためのカギとなるのは何でしょう?
- ロードマップにあるGormosの進捗はまだシークレットでしょうか?すでに公にできる情報はありますか?
- 現在のマーケット状況をどう考えていますか?さらにハイクオリティのプロジェクトにリソースを割り当てることはありますか?
- ビットコインETFのSEC承認に楽観的な意見が見られますが、決定は延期されそうです。マーケット状況が影響したように思えますが?
- ブロックチェーンの “キラーアプリ” について、既にあるのでしょうか?それとも、遠く離れた将来なのでしょうか?
- 暗号通貨の学習について、最初にこの業界に関わったのはいつですか?そこからどんな点で発展しましたか?また、何が必要ですか?
- 疑問の浮かぶ多くのプロジェクトを見てきました。FOMO3Dなど、創設者は違うというでしょうが、初めての人からするとスキャム/ポンジスキームに見えますが…
- Podcastや他の媒体など、チェックするに値するメディアはありますか?
広範はより一般的なブロックチェーンの話になり、一層興味深いかもしれません。
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