“BitcoinとEthereum”, “PoW対PoS”。Ethereum共同創設者, Vitalik氏インタビュー翻訳

イーサリアム

イーサリアムのCo-founderであるVitalik氏のインタビューはYouTube上に非常に多く存在しますが、比較的にイーサリアムの概要を捉え、PoSへの移行に関してタイムリーに言及するインタビューがあったので翻訳します。

 

 

“Deconomy” は暗号通貨/ブロックチェーン関連のメディアで、YouTubeビデオも多数配信しています。

Deconomy – Distributed Economy

 

以降全て、カラーの注釈以外はVitalik氏の言葉です。

 

Ethereumのアイディアの背景について

Ethereumはスマートフォンのようなものだと考えています。

 

例えばBitcoinについて、私はよく “Bitcoinはポケット電卓のようなものだ” と言っています。内部には電子回路が組み込まれていますよね。

 

しかし、それは「数字を入れて計算する」という特定の目的のためだけにデザインされています。

 

Bitcoinにもカラードコインやマスターコインのようなプロトコルがありますが、それらはアーミーナイフのようなものです。5つから10の機能を付け加えることができても、それ以外のことに使えるわけではありません。

アーミーナイフ

Colored Coins…Bitcoinに色をつけ、債券や株式を表すビットコインを作り出すプロトコル

Mastercoin…Bitcoinチェーン上に作られ、Bitcoin機能を拡張するプロトコル

 

一方スマートフォンの場合、100から1000のアプリケーションを手元に持つことが可能で、新たなアプリをダウンロードする際も店舗に行く必要はなく、デバイスをアップグレードする必要もありません。

 

店舗にいって、物理的なハードウェアの拡張をしなくてもいいんです。インターネットでダウンロードすればいいだけですよね。

 

私がEthereumでやりたいことは、ポケット電卓やアーミーナイフのようなパラダイムから脱却することなのです。

 

ブロックチェーンプロトコルの新しいアプローチは、「内部にプログラミング言語が組み込まれていること」です。

何かアプリケーションを作りたければ、ビジネスロジックを記述するコードを書き、ブロックチェーンへアップロードします。

そうすれば、誰もがそこへ通信するためのトランザクションを送信することができます。

 

アプリケーションはブロックチェーンネットワーク上で処理され、事前に書いたコード通りに動きます。スマートフォンやコンピュータと同じく、全てをコードに書くことができます。

 

このパラダイムシフトを求め、ブロックチェーンにも適用するのがEthereumです。

 

BitcoinとEthereumについて

ビットコインとイーサリアム

私が思うに、Bitcoinのコミュニティは「Bitcoinは今80%は完成している」と考えており、一方Ethereumのコミュニティは「Ethereumは今30%の完成度だ」と考えているように見えます。

 

BlockstreamのBitcoinブロックチェーンのロードマップを見ても、MerkelASTや多少の匿名機能など僅かな進歩にとどまっています。

 

一方Ethereumでは、1000倍のスケーリング、zk-SNARKやPoSへの移行などを話し合っています。

 

もう一つ考えられる違いとして、Bitcoinコミュニティの人々は、ブロックチェーンのほとんどの価値が「価値の保存」「価値の移転」「検閲への抵抗性」など、少数の重要な用途から由来すると考えていることです。

それこそ人々がトランザクションに$50でも喜んで支払う理由であるし、ブロックチェーンとは特定のユースケースを可能な限りセキュアに運用する手段だと考えているのです。

 

一方Ethereumコミュニティでは、ブロックチェーンの価値はよりロングテールからもたらされると考えています。

ロングテール

ユースケースとしての、各ユーザーの1つのトランザクションの価値はとても低いですが、リーチできるユーザー数は膨大に広がっていきます。

1ユーザーあたりの価値は高くなくとも、高いボリュームを保つことができるのです。

 

それは100万人の生活を”完全に”変えてしまうものではありませんが、1億人の生活を劇的に変化させ、数億人以上の生活を顕著に変えるものなのです。

 

この2つのコミュニティの信条の違いから、決断の違いも生まれます。

 

Bitcoinコミュニティは「僕たちにはライトニングがあるよ。でもライトニングがうまく動かなかったとしても、ブロックサイズを過度に大きくすべきでない」と言います。

それらは価値の保存など、重要な目的に対して問題になるからです。

 

一方、Ethereumコミュニティなら必ず、「もし1000倍のスケールアップが上手くいかないのなら、喜んで全てを壊し、スケーリングのために作り直そう」と言うでしょう。

 

Proof of Work  VS  Proof of Stake

PoWとPoS

Proof of Work と Proof of Stake について話す時、常に Proof of Work がいかに環境に悪影響を及ぼすかについて話してきましたし、私たちはブロックチェーンをもっと安く使えるものにしたいと思っています。

 

一方でBitcoinの人々は「高いレベルのセキュリティは、十分それに値する」と言います。「これが私たちのやるべきことで、PoWはよりよい資産である」と考えています。

 

私はそれに賛成するわけではありません。私たちがいかに価値があると考えても、大規模な資源の無駄使いになってしまいます。

 

私は、もし Proof of Stake が機能しない決定的な証拠があったとすれば Proof of Workの考えに戻ることを真剣に考えたでしょうし、またはブロックチェーンを完全にやめることも考えていたかもしれません。

 

Vitalik氏は PoWマイニングによる電力消費の環境への影響を重く捉えているようですが、その観点からはゴールドの採掘の環境破壊も “より酷い例” として考えているようです。

“価値の保存の観点からは、個人レベルでも社会レベルでもゴールドよりbitcoinが優れています。PoWも環境に悪いが、ゴールドはもっと悪い。”

 

Ethereumのハードフォークについて

Ethereumのハードフォーク

私は、ハードフォークが災害だったとは少しも思っていませんし、その点ではイデオロギーから分離している傾向があります。

 

Ethereumがハードフォークし、Ethereum Classicの2つのチェーンができるきっかけとなった “The DAO事件” は以下の記事が詳しいです。
第11回 The DAO事件|Tech Book Zone Manatee
コンピュータ関連の電子書籍が揃う専門ストア『Tech Book Zone Manatee』(テックブックゾーン マナティ)

 

誰でも、より効率的にコミュニケーションを取り特定の目標にフォーカスするため、小さいコミュニティや単位を望みますよね。

 

EthereumuとEthereum Classicのケースでは、2つのコミュニティが「ブロックチェーンとは何か、何のためにあるのか」に関してはっきり違う考えを持っていることが明らかでした。

 

なので私は、それぞれのコミュニティがそれぞれ好きなチェーンに注力したことは経済的に最適だったと考えています。

 

また、「EthereumがPoSに切り替えようとしているが、また反対者によりフォークが生まれるだろう」という人がいるのも知っています。

 

しかしそれは定かでないと思います。なぜならDAOのケースと違い、PoS移行では積極的にマーケティングを展開し合図を出しているし、「一旦よいアルゴリズムができれば、EthereumはPoSに移行する運命だ」と明白に印象づけているからです。

2014年からのEthereumコミュニティの皆がずっと知っていることです。

 

もし Proof of Work を信じて固執し続つづける場合でも、多くの人々は多大な努力で新たなチェーンを作るよりも Ethereum Classic に移行するだけだと思います。

 

それが、このチェーンが近い将来に死に絶えることがないと考える理由です。Ethereumが好きで、なおかつ Proof of Work が好きな人との交差点となり、そんな人の戻るべき場所となっていることはよいことです。

 

Ethereumへの関わりについて

VitalikとEthereum

ええ、間違いなく研究に多くの労力をかけています。

シャーディング、キャスパーFFG、プラズマやステートチャネル、ハードフォークやこれまで受け入れられてきたEIPなどに深く関わってきました。

EIP…Ethereum Improvement Proposals。Ethereumの改善提案。

 

このように以前はもっと開発をしていたのですが、今は研究の方がより重要になり、開発をすることが少なくなっています。長期的には、研究とコミュニケーションを続けているだろうと思います。

 

私はよく、「今後もイーサリアムコミュニティ内で今のような重要な役割を担い続けるつもりか、もしくは時間と共に減少させるのか」と質問を受けます。

 

関わり方は、時間と共に減少させていくつもりです。2,3年前は、研究したりコードを書いたりイーサリアムについて話す唯一の人間が私であることが多かったですが、今はたくさんの開発者がいます。

 

最近6ヶ月のうちに多くの人々が参加し、研究チーム/コミュニティも急速に成長しています。時間がたつにつれ、私の研究への貢献も減少するのは避けられないでしょう。

実際に研究に関しても、私は20人のうちの1人に過ぎません。

 

コミュニティの中のある人々は、長期的に私にアクティブに関わりリードしてほしいと考えていますが、ある人々は私に頼らずにコミュニティをやっていきたいと考えています。

 

この考えに差はありますが、個人的には私がおらずともイーサリアムコミュニティがやっていくことを望んでいますし、可能な限り早くそうなるようにしたいです。

 

世界を変えることについて

世界を変えることについて

様々なことに気づきましたが、常に感じる一つのことがあります。

 

それは、ブロックチェーンと暗号通貨が成功する可能性が100%に遠く及ばず10%であったとしても、「世界を解放し、パラダイムシフトを起こす10%のチャンスがあること」には、人生を捧げるに値するということです。

 

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